ドルアーガの塔【徹底解剖!レトロゲーム大図鑑 Vol.16】

アクションRPGの基礎を築いた歴史的な一作!

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※画像はNintendo Switch「NAMCOT COLLECTION」版です。
ドルアーガの塔(The Tower of Druaga)

・メーカー:ナムコ

・ジャンル:アクションRPG

・プレイ人数:1~2人(交互プレイ)

・リリース日:1984年7月20日にアーケードで稼働

ドルアーガの塔とは

「ドルアーガの塔」は1984年にナムコから発売されたアクションRPGゲーム。当時のアーケードゲームでは初となる中世ファンタジーの世界を舞台にしたゲームであり、ロールプレイングゲーム的なキャラクターの成長要素(アイテムレベル制)を取り入れた初のアクションゲームでもある。

バビリム王国の王子ギルが恋人カイの救出とブルークリスタルロッド奪還のため、大悪魔ドルアーガの棲む60階建ての塔へ挑むという内容で、各階に隠された宝箱を巡る難解(というよりも理不尽)な「謎解き要素」が最大の魅力。その理不尽極まりない謎解き要素と特殊なゲーム性から、ゲームセンター内では学校や友達同士といった垣根を越えたプレイヤー同士の攻略情報の共有、交換などが活発に行われる事となり、地域コミュニティひいては「ゲーセン文化」の発展に寄与した。

本作は後に「バビロニアン・キャッスル・サーガ」と定義されるドルアーガシリーズの第一作目にあたり、二作目「カイの冒険」の後日譚(時系列順で2番目の作品)である。

操作方法

四方向レバー:ギルを上下左右に動かす。

ボタン:剣の抜き差しに使用。ボタンを押している間は剣を前に構え、その状態で敵と接触することで攻撃出来る。

ゲームシステム

制限時間内に各フロアに落ちている鍵を入手し、扉に到達すると1階(1面)クリアとなる。全部で60階あり、59階に出現するドルアーガを倒し、60階でカイを救出するとゲームクリアとなる。

残りタイム:画面右下に表示される。ゲーム開始と同時に20000から減りだし、0になると60秒のカウントダウンが始まる。

基本テクニック(盾の扱い方):敵の呪文は盾で受けられる。剣を抜いてない場合は飛んで来る呪文に向かって正面で、剣を抜いた状態であれば左側面に盾を構えるため左側面で防ぐことが出来る。

宝箱:各フロアに1つずつ隠されており、出現条件を満たす事でフロア内の何処かに現れる。ほとんどの場合プレイヤーキャラを強化するためのアイテムが入っているが、中にはデメリットしかない物もある。

ZAP:一定の条件を満たしてしまう事でゲーム進行不可となり、遥か下の階層まで戻されるシステム。同時に以降のゲーム進行に必要なアイテムを失ってしまうため、発生した時点でゲームクリアは不可となる。発生条件は以下の通り。

59階BOSSドルアーガを倒さずに扉に入る
60階壁を破壊する。イシターを刺す。カイを刺す(※)
※この場合ゲーム進行不可となり、強制的にタイムオーバーしZAPとなる

自力攻略は不可能!?プレイヤー同士の情報交換こそが攻略の鍵

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「鍵を手に入れて扉に向かう」というのがこのゲームの基本的なルールですが、それとは別にゲームの進行に関わる重要な要素として「隠しアイテムを巡る謎解き」があります。この「隠しアイテム」は各フロア毎に一つずつ設置されており、ある特定の条件を満たす事でフロアの何処かに「宝箱」として出現する仕組みになっています。

宝箱の中には壁を破壊出来る「マトック(つるはし)」やドラゴンの吐く息に耐性が付く「ブルーネックレス」など、主人公ギルをパワーアップさせる様々なアイテムが入っているのですが、問題はその出現条件。「ある敵を〇体倒す」や「〇〇を倒さずに△△を倒す」ならゲーム内容と関係があるのでまだしも、「方向レバーを上下左右に、ある順番で何回ずつ入力する」や「フロア内の特定地点上を三回通過する」、「特定の場所に剣を刺した状態で10秒間待つ」等々おおよそゲームの目的とは関係がない条件も多く、そのうえゲーム内には一切のヒントがなかったのです。

この言わば「完全に運任せ」な謎解き要素に加えて「ZAP」システムの存在や、一部の宝箱の中には取り逃してしまうとゲームクリア自体が不可能になってしまう必須アイテムまで含まれている点など、今ではとても考えられない理不尽極まりないゲームシステムのように思えます。しかし時代はまだビデオゲーム黎明期。初めて遊ぶ「アクションRPG」の新鮮さに「ファンタジーの世界観」への憧れも手伝って、この超高難易度設定はかえってゲーマーの好奇心を刺激する結果となり、当時全国のゲームセンターでは「ドルアーガの塔攻略」の栄誉を巡る一大謎解き合戦が巻き起こりました。

発売当初公式には攻略情報はおろか具体的な遊び方の説明さえなく、まだSNS等のネット環境さえなかった頃、ゲーマー達にとって情報源となったのは勿論ゲームセンターでした。備え付けの「ゲームノート」にお互い発見した攻略法を書き込んだり、直接やり取りするなどして情報を共有し、ゲーマー同士協力し合ってこの難解な「悪魔の塔」に挑んだのです。