フリスキートム【徹底解剖!レトロゲーム大図鑑 Vol.10】

あの人気者より早かった!?先輩配管工の知られざる奮闘記

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※画像はスーパーファミコン「ニチブツ アーケードクラシックス」版です。
フリスキートム(Frisky Tom)

・メーカー:日本物産

・ジャンル:固定画面アクションゲーム

・プレイ人数:1~2人

・リリース日:1981年9月にアーケードで稼働

フリスキートムとは

「フリスキートム」は配管工のトムと、その仕事を邪魔するネズミ達の戦いをテーマにした固定画面アクションゲーム。ジョイントに噛み付いて外したり、爆弾を仕掛けたり、体当たりするなどしてトムの仕事を邪魔してくるネズミたちから配管を守り切り、ゴール地点にある貯水タンクに水を多く移すほど高得点となる。

4種類(海外版は5種)それぞれが異なる攻撃方法を持つネズミたちの動きを見極め、上手に捌きつつパイプラインを維持するのはなかなか忙しく大変だが、無事にたくさんの水を溜められれば「チャームレディ」のお色気シーンを見る事が出来る。こうしたデモアニメーションに加え、当時としてはまだ珍しかった2人同時プレイが可能となっている等、先鋭的なアイデアを盛り込んでおり、友達とワイワイ言い合いながら協力プレイが楽しめるのも魅力の一つである。

因みに今では随分と差をつけられてしまった感があるものの、「配管工」としてはあの世界的スーパースターより約2年ほど先輩にあたる。

操作方法

十字ボタン:トムを上下左右に動かす。縦移動は排水管が続いている箇所しか上り下り出来ないが、横移動時は1マス分であれば隣の管に飛び移れる。

ゲームシステム

左上のタンク(スタート地点)から右下のタンク(ゴール地点)に繋がる排水管をネズミ達のイタズラから守り、右下のタンクに表示されているポイントを出来るだけ多く残す事が目的。水が供給されず右下のタンクに表示されたポイントが0になるか、左上のタンクがネズミが仕掛けた爆弾で爆発してしまうとミスになりトムの残機が1つ減る。

ジョイント(黄色いパーツ):排水管のジョイントを外されている間はそこから水が漏れ、タンクに表示されたポイントが徐々に減っていく。外されたジョイントを拾って元の位置に戻す事で再び右下のタンクに水を供給する事が出来る。

チャームレディ:ラウンド終了時にタンクに水が2000点以上残っていればいるとバスタイム中のチャームレディが現れる。

爆弾:爆弾ネズミによってスタート地点の貯水タンクに仕掛けられる。導火線に点けられた火は、導火線に被さる格好で火より高い所からトムが飛び降りる事で消化が可能。燃えて短くなった導火線はそのラウンド中は元に戻らない。

敵キャラクター:トムの邪魔をするネズミ達。全部で5種類。

かみつきネズミ橙色のネズミ。ジョイントに噛み付いて外してしまう(※)
火付けネズミピンク色のネズミ。導火線に火を点けてくる
爆弾ネズミ紫色のネズミ。貯水タンクに爆弾を仕掛けてくる
いじわるネズミ紫色のネズミ。当たると排水管から落とされる
特攻ネズミ(海外版のみ)赤色のネズミ。トムをめがけて飛び込んでくる
※この敵のみトムが体当たりする事で、排水管から弾き飛ばせる

シャワーシーンは後のニチブツ名物「脱衣麻雀」へ

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こちらがチャームレディ。おそらくはマリリン・モンローをモデルとしたのであろう。

ゲーム業界においてまさに「開拓」の時代だった80年代初頭。業界のヒットメーカー「ナムコ」と並んで、日本のビデオゲーム界の新時代を切り拓く先陣を担ったのがニチブツこと「日本物産」でした。まだまだゲームデザイナーの発想にハードの性能が追い付かない時代でしたが、限られたハード性能、開発環境の中でも斬新なアイデアを上手く盛り込んだ独自性の強いゲームを数々生み出しました。

ぶっ飛び過ぎたゲーム内容で今なお根強いファンがいる「クレイジークライマー」や、おそらくはこれが業界初であろうお色気シーンを導入した「フリスキートム」等、ゲーマーに新しい「遊び」を提供しアーケードゲーム界で一時代を築き上げます。

1983年には業界初となる脱衣要素を取り入れたゲーム「ジャンゴウナイト」を開発。当時下火になりつつあった麻雀ゲームに+αの魅力を投入する事でプレイヤーの呼び戻しに成功し、「脱衣麻雀」という新しいゲームジャンルを確立させました。+αの魅力でゲームの話題性や楽しみそのものを高めるノウハウは、本作「フリスキートム」に由来するものかもしれません。