ムーンクレスタ【徹底解剖!レトロゲーム大図鑑 Vol.7】

「ドッキングせよ」画期的システムで大ヒットを飛ばしたニチブツの代表作!

moon-cresta-001
※画像はスーパーファミコン「ニチブツ アーケードクラシックス」版です。
ムーンクレスタ(MOON CRESTA)

・メーカー:日本物産

・ジャンル:固定画面シューティング

・プレイ人数:1~2人

・リリース日:1980年7月にアーケードで稼働

ムーンクレスタとは

スペースインベーダーを更に発展させたゲーム内容で大ヒットとなったナムコの名作シューティングゲーム(以下STG)「ギャラクシアン」。そのアーケード基盤を流用し開発され、ギャラクシアン発売の翌年に日本物産によりオリジナルゲームとして発売されたのがこの「ムーンクレスタ」である。

基本的なゲーム性はギャラクシアンを踏襲しており、また背景画面も全く同様の物を使い回しているためギャラクシアンの派生作品という印象が強いものの、固有の名称を持つ敵キャラの登場や「合体」する事で自機を強化する「ドッキング」システム等々それまでのSTGになかったオリジナル要素が高く評価され、こちらも大ヒット作となった。

特に自機の強化については今でこそSTGのスタンダードになっているが当時としては画期的であり、以降のゲーム作品に与えた影響は極めて大きい。

操作方法

二方向レバー:自機を左右に動かす。

ボタン:ショット、逆噴射(ドッキング・タイムのみ)

ゲームシステム

機体:分離、合体可能な三段式シャトルロケット。ゲーム開始時に操作出来るのは1号機で、やられる度に2号機→3号機と自機が入れ替わる。それぞれの機体の特徴は以下の通り。

1号機一番小さく敵に当たり難いがシングルショットのため敵に攻撃を当てにくい
2号機ツインショットが打て、1号機と3号機の中間サイズのため扱いやすい
3号機ツインショットが打てるが、サイズが大きく敵の攻撃を受けやすい

ドッキング・タイム:ステージ中に2回「ドッキング・タイム」が設けられており、自機に加えて後ろの番号の機体が残っていれば機体をドッキング(合体)させて強化する事が出来る(最大で三機合体)。このドッキング・タイムにはボーナス得点もあり、短時間でドッキングを完了させれば高得点となる。

エクステンド:3万点のエクステンド得点に到達すると全ての機体が一機ずつ増える。

敵キャラクター:今作には5種類の敵キャラクターが登場し、それぞれに色違いが1種類ずつ存在する。敵は必ず種類毎に通常パターン8体と、それを殲滅後に色違い8体の計16体を1WAVEとして出現し、それを敵5種類分の5WAVE撃破する事で一周クリアとなる。ギャラクシアン同様にアクロバティックな動きでプレイヤーを翻弄してくるが、攻撃手段は体当たりのみでこちら側に弾を飛ばしてくることはない。

コールドアイ(紫・黄)50点大きい目玉の様な敵。打つと2つに分裂する
スーパーフライ(黄・紫)30点虫型の敵(※)
フォーディ(黄・紫)60点宇宙怪賊?戦闘機型でスピードが速い
メテオ(紫・黄)200点巨大な隕石。とても速く直撃しやすい危険な敵(※)
アトミックパイル(黄・紫)100点小さい塊だが、ミサイルに変形した後突進してくる
※この敵を撃破後にドッキング・タイムに入る

新時代の到来を予感させた「合体」演出

moon-cresta-002
素早くドッキングに成功すればその分ボーナス得点が加算されるが、失敗すれば機体を失ってしまう。

ムーンクレスタ最大の特徴である「合体(ドッキング・タイム)」はスーパーフライ、メテオを撃破後にそれぞれミニゲーム形式で行われ、各ドッキング・タイムに1回(1機)ずつ1号機、2号機、3号機の順に最大で三機まで合体が可能です。この際途中の1機体を失っても残りの2機体で合体出来るシステムになっているため、合体パターンは全部で4パターン(1+2号機、1+3号機、2+3号機、三機合体)あります。機体の合体パターンによって使用感に違いが生まるこの仕様は、結果的にプレイヤーに取捨選択の自由を与える事になり、特にスコア更新のかかった高周回においては「火力を取るか」、「回避優先か」でプレイヤーを悩ませる程好いジレンマ(スパイス)になりました。

時代は合体変形ロボブームの真っただ中、凝った演出などまだまだ期待出来なかったビデオゲーム黎明期において「自機強化」という新しい概念を「合体」というドンピシャな演出で表現して見せた名作STG「ムーンクレスタ」。レバーとボタンを使った「合体(浪漫)」の疑似体験はビデオゲーム新時代の到来を予感させ、当時のゲーマー達を大いに熱狂させました。