忍者なのに目立ちまくり!赤頭巾のニューヒーロー
・メーカー:UPL
・ジャンル:縦スクロールアクション
・プレイ人数:1~2人(交互プレイ)
・リリース日:1984年10月にアーケードで稼働
忍者くん 魔城の冒険とは
「忍者くん 魔城の冒険」はタイトル通り「忍者」を主人公とした、サイドビューの縦スクロール和風アクションゲーム。忍者といえば華麗に宙を舞い、ド派手に忍法を繰り出すスタイリッシュなヒーローを思い浮かべてしまうが、本作の主人公「忍者くん」の攻撃手段は手裏剣のみ。ひたすら敵に向かって体当たりを繰り返し、怯んだところを手裏剣で仕留めるというド直球の肉体派である。
ゲーム内に登場する敵は黒子やだるま、カミナリ小僧といった和をイメージした8種類のキャラクターたち。どのキャラクターも忍者くんと同じく1.5頭身にデフォルメされており、可愛いキャラクターたちが画面内をピョコピョコと跳び回る姿は幅広い層のゲーマーの心を掴んだ。
日本の御城をバックに忍者と悪の組織が戦うという時代劇風の設定に、「制限時間内にステージ内の敵を全滅させればクリア」というシンプルなルールは実に潔く、それでいて個々に思考ルーチンを持ちプレイヤーに立ち向かってくる敵キャラの存在がゲームに奥深さをあたえており、やり込むほどに面白味が増してくる。難易度は若干高めだが、そこも含めて古き良きアーケードゲームらしさが感じられる作品である。
操作方法
二方向レバー:忍者くんを左右に動かす。
攻撃ボタン:手裏剣を投げる。
ジャンプボタン:左右どちらかにレバーを入れ、ジャンプボタンを同時押しで小ジャンプ。左右どちらかにレバーを長めに入れながら、ジャンプボタンを同時押しで上段へ飛び乗る大ジャンプ。ジャンプボタンのみでその場で下方向へジャンプする。
ゲームシステム
各ステージ内に出現する敵8体を制限時間内に全滅させるとステージクリアとなる。ステージ数は全32面あり、32面クリア後のエンディングはなく以降25~32面のループとなる。
体当たり:ジャンプ中に敵とぶつかることで気絶させ、一時的に動きを止めることが出来る。正面から手裏剣を投げても弾かれたり撃ち勝てない場合が多いため、ゲーム攻略の必須テクニックとなっている。
ハイテクニック:一度も外すことなく、手裏剣8枚で敵を全て倒すと10000~30000得点となる。また倒して落下していく敵に再度手裏剣を当てると1000得点となる。
巻物(100~800点):敵を倒すと出現する。坊主めくり風になっており、お姫様の絵柄が出ると巻物の数が2倍に、坊主が出ると0個になってしまう。
宝の玉(1000点):残り時間が100を切ると、1面につき1個だけ上空から落ちてくる。3つ集めることでボーナスステージへ行ける。
可愛いルックスでお茶の間でも人気者に!
忍者くんといえばやはり可愛らしいルックス。トレードマークの赤頭巾に黒い大きな目の1.5頭身キャラ「忍者くん」が、高さが自身の3倍はあろう崖や御城の屋根をぴょんぴょんと跳び回る様はとても印象的で、ついつい他人のゲーム画面であっても覗き込みたくなるような魅力があります。同じく1.5~2頭身にデフォルメされている敵キャラたちは独自の思考ルーチン(AI)で動き、プレイヤーの行動に対応してくるため画面内はいつも混戦の模様。まるで意思を持っているかのように立ち回る姿や、敗れ際のコミカルなやられ方は愛嬌があり、作中でも忍者くんに負けない存在感を放っています。敵キャラクターの動きが容易にパターン化されないということはとても重要で、つまりはゲームが単調な「覚えゲー」にはならず、飽きが来ず繰り返し遊べるということ。敵AIの存在はキャラクター性だけでなく、本作のゲーム性を語る上でも欠かせない魅力の一つと言えます。
こういったキャラクター性が男女問わず多くのユーザーに親しまれ、またそこに当時としては珍しかった「和」を題材としたゲームであるという話題性が加わったことで、本作「忍者くん 魔城の冒険」は瞬く間にゲームセンターで人気のタイトルに。後に続編として同じくアーケード向けに製作された、「忍者くん 阿修羅ノ章」とともにUPL(開発会社)を代表するアクションゲームの傑作として周知されています。
アーケード稼働の翌年にはファミリーコンピュータ用ゲーム「忍者くん 魔城の冒険(アーケードと同タイトル)」として、ジャレコによって移植、発売されこちらもヒット。可愛らしいキャラクターや分かり易いルール、繰り返し遊べる奥深いゲーム性はどれも家庭用ゲームと相性が良く、また移植のクオリティも高かったことで好評を博し、ファミコン初期の名作として往年のファミコンゲーマー達に愛されたのです。
こうして家庭用ゲーム市場への参入にも成功を収め、お茶の間でも人気者となった忍者くんは、後にジャレコが版権を買い取ったことにより「忍者じゃじゃ丸くん(忍者くんの弟という設定)」としてシリーズ化され、見た目はほぼそのままにジャレコの看板キャラクター「じゃじゃ丸」となり、ファミコン、ゲームボーイ、プレイステーション、セガサターン、飛んでPS4、Nintendo Switchと長きにわたり家庭用ゲーム機を舞台に活躍していく事となります。崖を越え、屋根を越え、企業やハードの垣根を越え・・・。そして世代をも飛び越えて、忍者くんはこれからも愛され続けていくのでしょう。